映画とミステリー 楽しむついでに英語力UP
映画を楽しみ、ミステリー小説を楽しみ、ついでに英語の力がつけばいい。
そんな気持ちで、映画を見続け、小説を読み続けてきた”わたし”のブログです。

昔の映画

  2001年宇宙の旅
  誰もが名前くらいは聞いたことがあるだろうレジェンド的な
SF映画の名作だ。物語、特に結末は難解で、何を意味するのか公開当時から議論百出、様々な解釈が出された。でも、この映画は百の議論よりも、映像体験としての素晴らしさを味わうべき作品だ。

   あまりに有名だから、詳しくは触れないが、猿人の投げた骨が宇宙船へと変わり、「美しき青きドナウ」のワルツをバックに、滑るように宇宙を移動するシーンや、リアルな月面着陸シーン、そして木星に向かう有人飛行船の船内設備のシーンなどなど。これが50年近く前に作られた映画だとは信じられないくらいの素晴らしさだ。
  それまで、吊り下げたワイヤーがちらちら見えるような、そんな特撮映画しか見たことのなかった僕が、初めて劇場でこの映画を見たときの驚きがどんなだったか、わかってもらえるだろうか。

 しかも、この映画が公開されたのは実際にアポロ11号が月に着陸する1年以上前なのだ。 現在のコンピューターグラフィックスにも見劣りしないこの映像が1968年に作られたものだということを、きちんと把握した上で見て欲しい。

 また、最近よくテーマにされる、人工知能AIの反逆を早々と描いてみせた作品でもある。ハル“HAL” というコンピューターと乗組員の、船の支配権を奪い合うやりとりは緊迫したシーンであり、この映画の見せ場のひとつだ。そして、この機械と人間の会話は、映画史上有名なセリフでもある。

 “Open the pod bay doors,HAL”

  “I'm sorry, Dave, I'm afraid I can't do that

「進入口を開けろ、ハル」

「申し訳ありません、デイブ。ご期待に添えなくて残念です」

といったところだろう。

 字幕ではハルの答えは「それはできません」だけだったが、 ちゃんと“I'm afraid”を使って、丁寧な応対をしているだけに、英語がわかると、余計 にコンピューターの冷たさが伝わってくるような気がする。

 なお、原題は“2001a space odyssey”で、「長い航海」の意味のオデッセイが使われている。原作は、その後「2010:」、「2061:」、「3001:」まで書かれ、そのうち「2010:」も映画化されている。 

 2010年になっても、現実はこの作品シリーズの内容に追いつけなかったから、次に追いつくチャンスは2061年ということになる。

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シックスセンス

 有名な大どんでん返しのある映画だ。いや、単なるどんでん返しではなく、観客と舞台がそっくり入れ替わるような驚きを与えてくれる。そして、もう一度冒頭から映画の中味を振り返ってみたくなる。

 この映画のアイデアを少し変えた亜流の作品が、その後数多く生まれたが、そのどれもこの映画ほどの感動を与えないのはなぜだろう。この映画には、人への愛が感じられる。一方、ほかの亜流映画は、単にほかとは違うトリックを仕込んで、驚かそうとしているだけのように思える。

 有名なセリフが “I see dead people” 「ぼくには死んだひとが見える」だ。特殊な「シックス・センス」を持つ男の子が、自分の能力を告白する。“I can see・・・・・・ とはならないんだな、とずっと思っていた。自然に見えるから、英語的には“can”じゃないのだろうか。

 ほかに、重要なセリフには“see”がいっぱい出てくる。
  
They don't see each other. They only see what they want to see. They don't know they're dead.
 幽霊たちの性質を少年が説明する言葉だが、これらがこの映画のトリックの背景になっている。字幕では全部訳されていないので、あえてすべて訳せば、「幽霊は、互いに見えない。自分たちの見たいものしか見ない。自分が死んでると思っていない」だろう。簡単な文章だけど、主人公の精神科医がすべてを悟る重要なセリフだ。

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(DVD)シックス・センス
(DVD)シックス・センス 

 バタフライエフェクトという言葉は、この映画がヒットしたせいもあって、かなり広く知られることとなった。蝶の羽ばたきのような小さな現象が地球の裏側ではハリケーンのような大きな現象を引き起こすという、カオス理論をたとえで表現したものだが、この映画のストーリーでは、ある種のタイム・トラベルにより結構大きめの変更を起こしていくから、はたして映画がカオス理論にあてはまるのか、個人的には疑問に思う。

 こういう説明だと、SFチックな物語だという印象を与えるかもしれない。
 バタフライエフェクト
 だが、実はとても切ない愛の物語だ。主人公は小さい頃から記憶が飛ぶこと
“Black-out”が頻繁にあった青年で、この記憶が無くなった瞬間が、時間の流れにバタフライエフェクトを起こす鍵だったのだ。そして、愛する人のために何度も何度も過去を変えようと試みる。

 “Black-out”は、まずは「停電」に使われるが、記憶がなくなること、失神することにも使われるらしい。お酒を飲み過ぎて記憶を飛ばしたときにも使うようだ。覚えておくといいかもしれない。ほかに映画の中では“Pass out”というのも使われている。こっちにも「酔いつぶれた」という意味がある。

 映画の方は、主人公の最後の選択に議論が大きく別れるだろう。そんなことまでする必要があるのかと。いずれにしても、わたしは最後のシーンがすごく気に入っている。実際には知らないのに、どこか見覚えのある人に出会うことがたまにあったときは、案外こういう事情があったりして・・・・・・。
 
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暗くなるまで待って
 
ロマンチックな題名だけど、ハラハラどきどきのサスペンスの秀作だ。
  原題は
“Wait until dark”だから、「~待って」と訳せなくもないが、映画の内容からすると「暗くなるまで待とう」、と主人公が自分に言い聞かせている、そんな感じだ。何しろ目の見えない女性が悪人と戦おうというのだから。

 オードリー・ヘップバーン演じる盲目の美人妻が、凶悪犯たちに執拗に狙われながらも、知恵と勇気で対抗する。巧みな伏線に、小道具の使い方も秀逸だ。
  ヘップバーンの目に見えない演技が、リアルながらも可憐で、その一方、アラン・アーキン演じる極悪非道の犯人は、映画ジャーナリストたちが選んだ
映画史上最も偉大な悪役トップ100 にも入っているくらいの冷酷ぶりだから、思わずオードリーに声援を送ってしまう。

 盲目の人妻は普段はとってもお茶目で魅力的だ。ドアをノックして「スージー?」と正しい答えがあっても、“Batmanって答える。でも、事故で目が見えなくなって、まだ一年と日が浅い。弱音を吐くこともある。
  夫に家事ができないことをなじられて、
“Do I have to be the world champion blind lady?”と言い返す。(字幕では「何でも出来なきゃ駄目?」になっていたが、世界一できる盲目女性でなきゃいけないの? が直訳だ)
 実際、彼女の鋭さに感心した犯人の一人から誉められると、彼女は「世界一?」と聞き返す。(日本語の字幕では、なんで急に世界一、が出てきたかわからない。こんなところが字幕翻訳の限界だろう)

 さらに、この犯人の一人は彼女の知恵をかなり深刻に警戒していて、仲間に「彼女は手ごわいぞ。甘く見るな」と警告する。英語では“She is something. She is really something”だ。“Something”は、こういう風に使うんだね。

 この“Something”な映画は、サスペンス好きなら必見だ。それに、空港で見知らぬ人から物を預かっちゃだめだっていうのは、この頃(1967年の作品)からの教訓なんだね。

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スティング
 だまされる快感という感じをわかってもらえるだろうか。見事にいっぱい食わされた! っていうところ。
 映画自体が大きな仕掛けになっていて、観客は最後までだまされ、エンディングにいたって、やっとああそうだったのかと、いい意味で監督に裏切られる。わたしはそんな映画が大好きだが、その極めつきが「スティング」だ。
 1973年のアカデミー賞作品で、詐欺師が主人公の映画だが、これほどダマサレル快感を感じる映画はほかにない。同じく詐欺師が主人公の映画「マッチスティックメン」もどんでん返しで、ダマサレるし、ほかにもこのダマサレ・パターンの映画はいっぱいある。「シックス・センス」もそのパターンのひとつだね。
 

 ところで、この「スティング」はダマサレ・パターンだけでなく、主演のロバート・レッドフォードとポール・ニューマンがとにかく格好いいし、映画全体も洒落たつくりで、有名なあのピアノのメロディーが流れるだけでわくわくする。

 映画には大きな仕掛けや、小さな仕掛けがいっぱい。仕掛けと言えば、映画はいくつかの章立てがされていて、各々の章の最初に絵とタイトルが現われる。(これが、また粋なんだ)。まるで紙芝居を見ている感覚だ。そのタイトルの中に“The Set-up”があるが、これが「仕掛け」になる。同じダマシでも、でっち上げや八百長なら、“Frame-up”で、フレームに入れられちゃうイメージか。
 

 「スティング」では、エンディングにつながる最後の章が映画のタイトルそのものの”The Sting”なんだが、今回改めて観たDVDでは「本番」と訳されていた。ストーリーからすれば、そのとおりだ。でも、”Sting”の意味は、「ちくり刺す」だから、そのとおり訳してもストーリーにぴたりなんだな。

 なお ”Sting”の意味には、「おとり捜査」もあるようだが、これはこの映画からきたものか? 機会があったら調べてみたい。

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2013-02-20

 

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