映画とミステリー 楽しむついでに英語力UP
映画を楽しみ、ミステリー小説を楽しみ、ついでに英語の力がつけばいい。
そんな気持ちで、映画を見続け、小説を読み続けてきた”わたし”のブログです。

2018年08月


ママミーア2

 人気ミュージカルを映画化して2008年にヒットした「マンマ・ミーア!」の続編だ。前作から10年後、ギリシャの島の小さなホテルのオーナー、ソフィの現在と、ソフィの今は亡き母、ドナの若き日つまり1979年当時の物語がフラッシュバックで描かれる。
 「マンマ・ミーア!」で明かされていた父(達)と亡き母の出会いの様子が具体的に映像化されているわけだ。
 
  この第2作のタイトル「ヒア・ウィー・ゴー」の部分は、テーマ曲でもある“Mamma Mia”の“here I go again”の部分をもじったものだということは明らかだ。(原題は“Mamma Mia! Here we go again")
 単純に訳すと「さあ、もう一度いこうよ(やろうよ)」となるのだろうが、曲の内容からするとそうでもなさそうだ。字幕では「またハマりそう」となっていた。そう、何度も恋人にだまされ、愛想をつかして別れると決めても、やっぱり別れられないわ! という切ない(?)女ごころを歌った曲だからだ。ある意味映画そのもののテーマかもしれない。

 この“Mamma Mia” を含めて流れる音楽はもちろんABBAの名曲。前作で取り上げられた曲が多いが、今作で初めて使われた曲もある。冒頭の“When I Kissed the Teacher”もそのひとつ。
 中に“I was in the seventh heaven”という歌詞があったので、何だろうと調べたら、「有頂天になって」という意味だった。ユダヤ人の信じる第七天国は最上天だから、らしい。

 前作でも流れた有名な曲では「恋のウォーター・ルー」がある。ドナが訪れるパリのレストランのウェイター達がナポレオンっぽい制服を着ていたから、もしやと思っていたら、案の定“Waterloo”が流れ、“I was defeated, you won the war・・・”と歌い踊り始める。
 もちろん、「あなたに負けたわ、もう首ったけ」とナポレオンのワーテルローでの敗戦にひっかけた恋の曲なのだ。ちなみに、欧米では“Waterloo”は「大敗」「惨敗」の意味になるようだ。

 こうして、映画では現在と過去が繰り返し交代して出てきて、登場人物達の過去の姿と現在の姿が対比されていく。だが、みな結構「いい歳の取り方」をしている。
 映画の中で、まさに“In your case, age becomes you”というセリフが出てくる。フェリーの乗り場のギリシャ人管理官が(いい味だしながら)パパのひとりに話しかけるシーンだが、日本語では年と共にうまく年齢を加えていくという意味になるだろう。
 彼は続けて“As it does a tree, a wine and a cheese”(「まるで大木やワイン、チーズみたいに」拙訳)と言う。“age becomes you”って、覚えておくと格好がいいセリフだ。

 いい歳の取り方と言えば、最後のほうに登場してくる女優にして歌手のシェール(Cher)は、最近あまり見かけなかったから、多少ケバくはあるが、いい歳の取り方をしていて驚いた。
 彼女が派手派手しく登場したあと歌う「悲しきフェルナンド」は必見、いや必聴だ。

 この「悲しきフェルナンド」原題“Fernando”は、メキシコとアメリカとのいわゆる米墨戦争を共に戦った友を思って、ひとりの老兵が歌う歌だそうだから、場面にぴったりだと言えそうだ。
(ちなみにABBAの元のスウェーデン語の歌詞では、失恋をした友人フェルナンドを慰めるという、比較的単純な内容だったらしい)

 そして映画は、“The Day Before You Came”でホロリとさせ、過去と現在、新旧登場人物入り乱れての“Super Trooper”乱舞シーンで大団円を迎える。
 二匹目のどじょうを狙っただろうには違いないが、まずまず成功している作品とは言えるだろう。

ミッション:インポッシブル6

  TVの人気ドラマをトム・クルーズ主演でリメイクし、世界的ヒットとなったスパイアクションシリーズの第6作。第1作から第3作まではⅠ、Ⅱ、Ⅲと数字表現だったが、4作目からはサブタイトルが付き、今作は「フォールアウト」と副題が付いている。

  “Fall-out”とは「放射性降下物」のこと。字幕では「死の灰」となっているときもあったが、要するに核爆発後に地上に降ってくる有害物質のことだ。
  動詞の“Fall out”には「~の結果となる」とか「結局~となる」の意味があるから、名詞化して「副産物」や「予期しない結果」という意味にもなるようだ。映画の中味を想像させる。

  今回の映画の冒頭は、TV作品当時のあの懐かしい設定で始まる。主人公に音声テープで指令が届けられ、「おはよう、フェルプス君。さて今回の君の使命だが~」と作戦の目的が明かされるのがTVシリーズのお約束だったのだが、本作ではこの設定を現代的に生かして、主人公イーサン・ハントに作戦指示が送られる。(そういえば、映画シリーズ第1作でフェルプス君が亡くなり、イーサン・ハントのミッション・インポッシブル・シリーズになると分かったときは、本当に淋しかった!)
 
  TV時代へのオマージュだけでなく、本作品は過去の映画シリーズのストーリーを生かして作品に厚みを加えていることに感心させられた。過去作をご覧になっていない方は、観てから劇場に行かれることをお勧めする。特に前作「ローグ・ネイション」は必見だ。
 
  本編のセリフで繰り返し出てくるもののひとつには、“What’s done is done”がある。字幕では「もう遅い」だったか。直訳では「やったことは済んだこと」なのだろうが、使い勝手は良さそうだ。
また、裏切られた場面などで、相手がつぶやくのが“No bad feeling”だ。「悪く思うな」となるが、こっちは使う場面が起きない方が良さそうだ。
 “There cannot be peace without first, a great suffering. The greater suffering, the greater peace”も何度も出てくる。「最初の大きな苦しみなくして平和はない・・・」そして「苦しみが大きいほど、平和も大きい」という意味だが、字幕では後半部は確か「苦しみが先、平和は後」になっていた。なるほど、字数が限られる字幕翻訳ならではの意訳だ。今回の字幕作成者、戸田奈津子さんの面目躍如といったところだろう。
 
  このほかにも面白い表現があったが、特に後半からハラハラどきどきが止まらなくなり、手に汗握る展開にセリフを覚えておく余裕がなくなってしまった。それほどクライマックスは盛り上がり、アクションも切れ味、迫力満点だ。
 ストーリーが少し複雑すぎて、展開を理解するのに気を取られる面はあるものの、アクション映画としての出来映えは間違いなくシリーズ一、二を争う作品と言えるだろう。


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